Maestro

 パッチクランプを超えた電気生理の新基準

 MAESTRO PRO シリーズ Axion

 新機能(MEA Viability)追加
 細胞の生存率・接着性の評価が細胞外電位測定と同一プレートで可能

Maestro Proシリーズでは、細胞外電位の測定により神経細胞や心筋細胞の機能評価ができますが、それに加えて細胞の生存率を同時に評価できるようになりました(※追加のモジュール(MEA Viability)が必要)。この機能を使用することで、細胞の活動(神経細胞のスパイク、心筋細胞の拍動)に変化が起こった際に、それが神経・心筋細胞の機能に特有の現象であるか、細胞に対する毒性による現象であるかを明らかにできます。本機能は、多くのユーザーからの要望を受けて開発されました。
Axion社サイト:MEA Viability ModulePoster

A. 神経活動だけが阻害された例(左図):薬剤の添加により、神経細胞の活動は減少していますが(上段)、生存率に変化はありません(下段)。
B. 細胞の生存率が減少した例(右図):薬剤の添加により、神経細胞の活動が減少していて(上段)、生存率も減少しています(下段)。

 Maestro Proシリーズの特長
 Point 1  ボタン一つ 5分で測定


Maestro Proシリーズの上面にあるスイッチを押して蓋を開け、専用プレートを設置するだけで測定が開始できます。従来のパッチクランプ法では必要となる専用の部屋や設備が不要です。測定のための設定および温度、CO2の制御は付属のソフトウェア(AxIS Navigator)で行います。温度、CO2の自動制御のため、安定した条件での長期間培養ができます。

 Point 2  多機能な附属ソフトウェアで簡単データ解析・グラフ作成


取得したデータの解析およびグラフの作成に対応したソフトウェア(Neural Metric Tool、 Cardiac Analysis Tool、 AxIS Metric Plotting Tool)が附属しています。特に、神経細胞と心筋細胞の解析に最適なパラメータが設定されています。神経細胞に対しては、 神経活動(スパイク)・バーストの検出および細胞間のネットワーク解析が容易にでき、心筋細胞に対しては、細胞外電位・収縮弛緩反応・活動電位様データ(LEAP)のデータを取得し解析します。それぞれ、各種条件を比較したデータを作成し、プレゼンテーションや論文に使用いただけます。


 Point 3  ハイスループット測定


最大96 well(各wellに8電極、最高768チャネル(Maestro Proの場合))の同時測定により、ハイスループット測定を可能にしています。パッチクランプやカルシウムイメージングとは異なり、ラベルフリーで同一のウェルを長期間(数か月)に渡って測定します。各ウェルには複数の電極が配置されており、ウェル内でのシグナル伝達やネットワークの解析にも利用されています。
(右図)96 well プレートで測定された神経細胞のヒートマップ

 Point 4  細胞増殖/傷害性試験(インピーダンス測定)も対応可能


Maestro Proシリーズは、神経細胞や心筋細胞の機能評価のための細胞外電位測定だけでなく、インピーダンス測定が可能で、多くの接着細胞の細胞増殖・傷害性試験やバリア能の評価が可能になります(※追加のモジュールの購入が必要)。この機能の追加により、Maestro 1台で、電気生理学的な機能評価だけでなく、がん研究やウイルス研究、上皮や内皮細胞の構造形成の評価等、幅広く使用できるようになります。


 専門家のコメント

東北工業大学電気電子工学科 鈴木郁郎 准教授

我々のラボでは、iPS細胞由来神経細胞や齧歯類の神経細胞を用いた毒性評価にMaestro Edgeを使用しています。一度の実験で24サンプルからのデータ取得、解析結果が得られ、その高いスループット性により実験の効率が一気にアップしました。MEAプレート搭載部はミニインキュベータ状態になっており、実験環境設定に苦労することもなく、常に安定したデータ測定ができます。装置の操作性が優れていることから、電気生理経験の無い研究者の方にもお奨めできます。

海外ユーザーによるウェビナー

海外ユーザーによるウェビナーがAxion社サイトで公開されています。下のボタンをクリックしてください。




Axion

Brain tumors that cause epilepsy
演者:Armin M.(National Institute of Health)
トランスウェルを用いたグリア細胞と皮質神経細胞の共培養モデルにより、腫瘍の代謝物が神経活動に対して与えるかを評価しています。



Axion

Zebrafish EEG in a dish
演者:Dr. Tomasello(Whitehead Institute)
生きているゼブラフィッシュの稚魚の神経活動を測定する方法と、その手法で得られた脳と脊髄のバルプロ酸に対する反応を紹介しています。


論文紹介

Maestroシリーズを使用している文献情報をお知らせします。

  • Functional Characterization of Human Pluripotent Stem Cell-Derived Models of the Brain with Microelectrode Arrays. Cells., Vol. 11 Issue 11.
    Pelkonen, A., Pistono, C., Klecki, P, et al. (2021).

  • Using hiPSC-CMs to Examine Mechanisms of Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia. Curr Protoc., 1(12):e320.
    Arslanova A, Shafaattalab S, Ye K, et al. (2021).

  • Human Spinal Organoid-on-a-Chip to Model Nociceptive Circuitry for Pain Therapeutics Discovery. Anal Chem., published online ahead of print, 2021 Dec 20.
    Ao Z, Cai H, Wu Z, et al. (2021).

  • Integrated Omic Analyses Identify Pathways and Transcriptomic Regulators Associated with Chemical Alterations of in Vitro Neural Network Formation . Toxicol Sci., published online ahead of print, 2021 Dec 20.
    Marable CA, Frank CL, Seim RF, et al. (2021).

  • Assessment of cerebral spinal fluid biomarkers and microRNA-mediated disease mechanisms in spinal muscular atrophy patient samples. Hum Mol Genet, Dec 17.
    Welby E, Rehborg RJ, Harmelink M, Ebert AD. (2021).

  • Shed CNTNAP2 ectodomain is detectable in CSF and regulates Ca2+ homeostasis and network synchrony via PMCA2/ATP2B2. Neuron, S0896-6273(21)00986-7.
    Martín-de-Saavedra MD, Dos Santos M, Culotta L, et al. (2021).

  • Bacterial neurotoxic metabolites in multiple sclerosis cerebrospinal fluid and plasma. Brain, Dec 11;awab320.
    Ntranos A, Park HJ, Wentling M, et al. (2021).

  •  Maestro Proシリーズ使用データ

    Quick-Neuron™ Plate – MEA 48 (エリクサジェン・サイエンティフィック社)の測定

    Quick-Neuron™ Plate – MEA 48(製品サイト)は、MEAプレート上に、機能性の高いヒトiPS細胞由来興奮性神経細胞が、播種されています。本プレートを使用すれば、培養作業を省略することができ、すぐにMaestroを用いた薬剤応答評価などを始めることができます。下記のQuick-Neuron™ Plate – MEA 48を用いたデータは、株式会社リコー様より提供いただきました。


    ・4-APに対する濃度依存的な応答

    4-AP を低濃度から添加していき、4-APに対する反応を測定しました。4-APの濃度依存的に発火、および同期バースト数が増加しています。


    ・各種薬剤に対する応答

    各種レセプターのアゴニスト、アンタゴニスト、およびイオンチャネル阻害剤に対する発火頻度の変化を評価しました。発火頻度が増加した条件を赤色で表し、減少した条件を青色で表しています。代表的な薬剤に対して従来の報告と同様の応答性を示しています。


    ・輸送に対する安定性

    Quick-Neuron™ Plate – MEA 48を日本から米国へ輸送した前後で測定を行いました。輸送前後での変化は認められず、薬剤(4-AP) にも濃度依存的に応答しました。



     製品リスト

    (1) Maestro Proシリーズ

    96ウェルプレートまで測定可能なMaestro Proと24ウェルプレートまで測定可能なMaestro Edgeをラインナップしています。


    Maestro Pro

    Maestro Edge
    製品番号
    同時記録電極数
    対応プレート
    プレート自動認識
    タッチスクリーン
    自動温度コントロール
    自動CO2濃度コントロール
    電気刺激
    光刺激
    内蔵ハードディスク容量
    解析ソフトウェア
    BioCore Chip
    ハイパスフィルター
    ローパスフィルター
    大きさ
    重さ
    MAESTRO768PRO
    768
    6, 24, 48, 96-well
    Lumos 24, 48, 96
    1.0 TB
    AxIS Navigator 1.5
    12 cores (V4)
    0.01 Hz (variable)
    5.0 kHz (variable)
    280 × 452 × 225 mm
    (W × D × H)
    13.88 kg
    MAESTRO384EDGE
    384
    6, 24-well
    Lumos 24
    0.5 TB
    AxIS Navigator 1.5
    6 cores (V4)
    0.01 Hz (variable)
    5.0 kHz (variable)
    280 × 413 × 225 mm
    (W × D × H)
    13.24 kg


    ※既に販売を終了しておりますMaestro1のハードウェアサポートを2022年8月にて終了いたします。以降はMaestro1の修理の保証ができなくなります。ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。

    (2) MEAプレート
    Msestro Pro シリーズでの測定には、プレートの底面に平面電極が埋め込まれた専用のプレートを使用いたします。
    ・CytoView
    CytoViewは底面が透明になっていて、細胞の形態を観察することができます。6, 12, 24, 48, 96ウェルに対応しています。各ウェルには複数の電極が配置されていて、細胞間のネットワーク解析が可能です。
    ・Lumos
    Lumosは光刺激用システムで、光刺激を実施する場合は、専用の光刺激装置とプレートを使用いたします。

    プレートタイプ
    ウェル数
    製品名
    製品番号
    CytoView
    96
    CytoView MEA 96-Black
    M768-tMEA-96B-5
    CytoView MEA 96-White
    M768-tMEA-96W-5
    48
    CytoView MEA 48-Black
    M768-tMEA-48B-5
    CytoView MEA 48-White
    M768-tMEA-48W-5
    24
    CytoView MEA 24
    M384-tMEA-24W-5
    6
    CytoView MEA 6-Black
    M384-tMEA-6B-5
    CytoView MEA 6-White
    M384-tMEA-6W-5
    Lumos
    96
    Lumos 96 MEA plate
    M768-tMEA-96OPT-5
    48
    Lumos 48 MEA plate
    M768-tMEA-48OPT-5
    24
    Lumos 24 MEA plate
    M384-tMEA-24OPT-5
    BioCircuit
    96
    BioCircuit MEA 96
    M768-BIO-96-5
    48
    BioCircuit MEA 48
    M768-BIO-48-5
    24
    BioCircuit MEA 24
    M384-BIO-24-5
     測定例

    (1) 神経細胞

    ・スパイク、バーストの検出
    神経細胞由来のシグナルを細胞外電位の変化として検出します。このスパイクの検出が神経細胞の測定の基本となります。初代培養の神経細胞だけでなく、幹細胞由来の神経細胞での測定実績も多数報告されています。さらに、個々の電極でスパイクが集中的に検出されると、それをバーストと設定できます。



    ・ネットワークバーストの検出
    Maestroのプレートは、ウェル内に複数の電極が配置されており、同時に神経活動を測定することができます。その結果、神経細胞のネットワーク形成を評価でき、より高次な神経細胞活動が研究対象となります。


    (2) 心筋細胞

    ・細胞外電位
    心筋細胞の細胞外電位を測定することで得られるFP duration, Beat-to-Beat interval, Na Amplitude等の値が各種の試験でで用いられています。特にiPS細胞由来の心筋細胞を用いた安全性評価において、QTの延長や催不整脈作用の評価に使用されています。



    ・LEAP(Local Extracellular Action Potential)
    Axion社で開発されたLEAP法によって、活動電位に類似したシグナルを取得できます。これにより、活動電位持続期間(APD)を設定 することができ(左図)、さらにEAD(早期後脱分極)の検出(右図)が、容易になります。



    参考文献(Sci Rep. 2019 Aug 15;9(1):11893)

    ・収縮・弛緩反応
    電極状のインピーダンスの変化を測定することで、心筋細胞の収縮・弛緩反応を捉えます。下記にBlebbistatinの添加による収縮反応の阻害を示しています。iPS細胞由来心筋細胞を用いた試験では、長期間(48時間)の連続ペーシングにより、成熟化が促進できることが示唆されています。


     ソフトウェア

    Maestro MEA システムでは、簡単にデータ取得ができる機器(Maestro Pro/Edge)に、データの解析およびグラフの作成に最適なソフトウェアが付属しています。

    (1) AxIS Navigator

    AxIS NavigatorはMaestro Proシリーズを制御するソフトウェアで、プレートや実験条件の設定だけでなく、データ取得のスケジュール、電気刺激の添加も設定可能です。各電極由来のシグナルをリアルタイムで確認しながら、データを取得します。また、既に取得したデータから、必要箇所だけを抽出することができます。


    基本画面



    Active Map


    (2) Neural Metric Tool

    Maestro Proシリーズで取得された神経細胞由来のデータは、Neural Metric Toolで解析します。Neural Metric Toolでは、プレート全体の神経活動の頻度を「Plate Map」として表示し、さらに、各ウェルごとのネットワークバースト、同期性の検出と解析を行います。基本的には各電極で記録されたスパイクを検出し、バースト(スパイクの集積)を定義し、電極間での同期性を評価します。


    基本画面


    (3) Cardiac Analysis Tool

    Maestro Proシリーズで取得された心筋細胞由来のデータは、Cardiac Analysis Toolで解析します。各電極から取得された拍動のシグナルから、最適な一つの電極を自動的に決定し、このデータを用いて、細胞外電位測定においては、FPD (Field Potential Duration)を求めます。LEAP(Local extracellular Action Potential)測定においては、APD30, 50, 90を求めます。さらに、不整脈様の反応の検出にも使用されます。


    基本画面



    (4) AxIS Metric Plotting Tool

    Maestro Proシリーズで取得されたデータは、AxIS Metric Plotting Toolを用いて、簡単にグラフ化されます。ベースラインとなるデータと薬剤添加群等のデータをインポートするだけで、60以上のパラメータのグラフが作成できます。作作成したグラフは、そのままコピーできるのでレポートや論文に使用されます。

    基本画面