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Maestro Proシリーズ
MEAシステム・細胞外電位測定機器
(神経細胞・心筋細胞)
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Maestro Proシリーズでは、細胞外電位の測定により神経細胞や心筋細胞の機能評価ができますが、それに加えて細胞の生存率を同時に評価できるようになりました(※追加のモジュール(MEA Viability)が必要)。この機能を使用することで、細胞の活動(神経細胞のスパイク、心筋細胞の拍動)に変化が起こった際に、それが神経・心筋細胞の機能に特有の現象であるか、細胞に対する毒性による現象であるかを明らかにできます。本機能は、多くのユーザーからの要望を受けて開発されました。
Axion社サイト:MEA Viability Module ・
Poster

A. 神経活動だけが阻害された例(左図):薬剤の添加により、神経細胞の活動は減少していますが(上段)、生存率に変化はありません(下段)。
B. 細胞の生存率が減少した例(右図):薬剤の添加により、神経細胞の活動が減少していて(上段)、生存率も減少しています(下段)。
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Maestro Proシリーズの上面にあるスイッチを押して蓋を開け、専用プレートを設置するだけで、神経細胞・心筋細胞の電気生理学的な活動が測定が開始できます。従来のパッチクランプ法では必要となる特殊な技術や、専用の部屋・設備が不要です。さらに、非侵襲・ラベルフリーで測定できることから、より正確に細胞の活動を評価することができます。測定のための設定および温度、CO2の制御は付属のソフトウェア(AxIS Navigator)で行います。温度、CO2の自動制御のため、安定した条件での長期間培養ができます。

取得したデータの解析およびグラフの作成に対応したソフトウェア(Neural Metric Tool、 Cardiac Analysis Tool、 AxIS Metric Plotting Tool)が附属しています。特に、神経細胞と心筋細胞の解析に最適なパラメータが設定されています。神経細胞に対しては、 神経活動(スパイク)・バーストの検出および細胞間のネットワーク解析が容易にでき、心筋細胞に対しては、細胞外電位・収縮弛緩反応・活動電位様データ(LEAP)のデータを取得し解析します。それぞれ、各種条件を比較したデータを作成し、プレゼンテーションや論文に使用いただけます。

最大96 well(各wellに8電極、最高768チャネル(Maestro Proの場合))の同時測定により、ハイスループット測定を可能にしています。各ウェルには複数の電極が配置されており、ウェル内での神経細胞ネットワークや心筋細胞間のシグナル伝播の解析にも利用されています。特に、iPS細胞由来の分化細胞の機能評価や神経毒性、心筋毒性の評価に最適です。パッチクランプやカルシウムイメージングとは異なり、ラベルフリーで同一のウェルを長期間(数か月)に渡って測定します。 |
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Maestro Proシリーズは、神経細胞や心筋細胞の機能評価のための細胞外電位測定だけでなく、インピーダンス測定が可能で、多くの接着細胞の細胞増殖・傷害性試験やバリア能の評価が可能になります(※追加のモジュールの購入が必要)。この機能の追加により、Maestro 1台で、電気生理学的な機能評価だけでなく、がん研究やウイルス研究、上皮や内皮細胞の構造形成の評価等、幅広く使用できるようになります。
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我々のラボでは、iPS細胞由来神経細胞や齧歯類の神経細胞を用いた毒性評価にMaestro Edgeを使用しています。一度の実験で24サンプルからのデータ取得、解析結果が得られ、その高いスループット性により実験の効率が一気にアップしました。MEAプレート搭載部はミニインキュベータ状態になっており、実験環境設定に苦労することもなく、常に安定したデータ測定ができます。装置の操作性が優れていることから、電気生理経験の無い研究者の方にもお奨めできます。 |
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海外ユーザーによるウェビナーがAxion社サイトで公開されています。下のボタンをクリックしてください。

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Brain tumors that cause epilepsy |
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Zebrafish EEG in a dish |
Maestroシリーズを使用している文献情報をお知らせします。
Parmentier T, James FMK, Hewitson E, et al. (2022).
Yoon J, Kim HW, Shin M, et al. (2022).
Zhang A, Sokolova I, Domissy A. et al. (2022).
Mishra S, Knupp A, Szabo MP. et al. (2022).
Papes F, Camargo AP, de Souza JS. et al. (2022).
Sequiera GL, Srivastava A, Sareen N. et al. (2022).
Huang CY, Nicholson MW, Wang JY. et al. (2022).
MacNair CR, Farha MA, Serrano-Wu MH. et al. (2022).
Wickramasinghe NM, Sachs D, Shewale B. et al. (2022).
Ghovanloo MR, Estacion M, Higerd-Rusli GP. et al. (2022).
Wen J, Peitz M, Brüstle O. (2022).
Zhang X, Chen L, Huang X. et al. (2022).
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Quick-Neuron™ Plate – MEA 48は、MEAプレート上に、機能性の高いヒトiPS細胞由来興奮性神経細胞が、播種されています。本プレートを使用すれば、培養作業を省略することができ、すぐにMaestroを用いた薬剤応答評価などを始めることができます。下記のQuick-Neuron™ Plate – MEA 48を用いたデータは、株式会社リコー様より提供いただきました。 |
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・4-APに対する濃度依存的な応答
4-AP を低濃度から添加していき、4-APに対する反応を測定しました。4-APの濃度依存的に発火、および同期バースト数が増加しています。

・各種薬剤に対する応答
各種レセプターのアゴニスト、アンタゴニスト、およびイオンチャネル阻害剤に対する発火頻度の変化を評価しました。発火頻度が増加した条件を赤色で表し、減少した条件を青色で表しています。代表的な薬剤に対して従来の報告と同様の応答性を示しています。

・輸送に対する安定性
Quick-Neuron™ Plate – MEA 48を日本から米国へ輸送した前後で測定を行いました。輸送前後での変化は認められず、薬剤(4-AP) にも濃度依存的に応答しました。

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96ウェルプレートまで測定可能なMaestro Proと24ウェルプレートまで測定可能なMaestro Edgeをラインナップしています。
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※既に販売を終了しておりますMaestro1のハードウェアサポートを2022年8月にて終了いたします。以降はMaestro1の修理の保証ができなくなります。ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。
・CytoView CytoViewは底面が透明になっていて、細胞の形態を観察することができます。6, 12, 24, 48, 96ウェルに対応しています。各ウェルには複数の電極が配置されていて、細胞間のネットワーク解析が可能です。 ・Lumos Lumosは光刺激用システムで、光刺激を実施する場合は、専用の光刺激装置とプレートを使用いたします。 |
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プレートタイプ |
ウェル数 |
製品名 |
製品番号 |
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CytoView |
96 |
CytoView MEA 96-Black |
M768-tMEA-96B-5 |
CytoView MEA 96-White |
M768-tMEA-96W-5 |
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48 |
CytoView MEA 48-Black |
M768-tMEA-48B-5 |
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CytoView MEA 48-White |
M768-tMEA-48W-5 |
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24 |
CytoView MEA 24 |
M384-tMEA-24W-5 |
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6 |
CytoView MEA 6-Black |
M384-tMEA-6B-5 |
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CytoView MEA 6-White |
M384-tMEA-6W-5 |
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Lumos |
96 |
Lumos 96 MEA plate |
M768-tMEA-96OPT-5 |
48 |
Lumos 48 MEA plate |
M768-tMEA-48OPT-5 |
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24 |
Lumos 24 MEA plate |
M384-tMEA-24OPT-5 |
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BioCircuit |
96 |
BioCircuit MEA 96 |
M768-BIO-96-5 |
48 |
BioCircuit MEA 48 |
M768-BIO-48-5 |
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24 |
BioCircuit MEA 24 |
M384-BIO-24-5 |
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・スパイク、バーストの検出
神経細胞由来のシグナルを細胞外電位の変化として検出します。このスパイクの検出が神経細胞の測定の基本となります。初代培養の神経細胞だけでなく、幹細胞由来の神経細胞での測定実績も多数報告されています。さらに、個々の電極でスパイクが集中的に検出されると、それをバーストと設定できます。

・ネットワークバーストの検出
Maestroのプレートは、ウェル内に複数の電極が配置されており、同時に神経活動を測定することができます。その結果、神経細胞のネットワーク形成を評価でき、より高次な神経細胞活動が研究対象となります。

・細胞外電位
心筋細胞の細胞外電位を測定することで得られるFP duration, Beat-to-Beat interval, Na Amplitude等の値が各種の試験でで用いられています。特にiPS細胞由来の心筋細胞を用いた安全性評価において、QTの延長や催不整脈作用の評価に使用されています。

・LEAP(Local Extracellular Action Potential)
Axion社で開発されたLEAP法によって、活動電位に類似したシグナルを取得できます。これにより、活動電位持続期間(APD)を設定
することができ(左図)、さらにEAD(早期後脱分極)の検出(右図)が、容易になります。

参考文献(Sci Rep. 2019 Aug 15;9(1):11893)
・収縮・弛緩反応
電極状のインピーダンスの変化を測定することで、心筋細胞の収縮・弛緩反応を捉えます。下記にBlebbistatinの添加による収縮反応の阻害を示しています。iPS細胞由来心筋細胞を用いた試験では、長期間(48時間)の連続ペーシングにより、成熟化が促進できることが示唆されています。

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Maestro MEA システムでは、簡単にデータ取得ができる機器(Maestro Pro/Edge)に、データの解析およびグラフの作成に最適なソフトウェアが付属しています。
AxIS NavigatorはMaestro Proシリーズを制御するソフトウェアで、プレートや実験条件の設定だけでなく、データ取得のスケジュール、電気刺激の添加も設定可能です。各電極由来のシグナルをリアルタイムで確認しながら、データを取得します。また、既に取得したデータから、必要箇所だけを抽出することができます。
基本画面

Active Map

(2) Neural Metric Tool
Maestro Proシリーズで取得された神経細胞由来のデータは、Neural Metric Toolで解析します。Neural Metric Toolでは、プレート全体の神経活動の頻度を「Plate Map」として表示し、さらに、各ウェルごとのネットワークバースト、同期性の検出と解析を行います。基本的には各電極で記録されたスパイクを検出し、バースト(スパイクの集積)を定義し、電極間での同期性を評価します。
基本画面

(3) Cardiac Analysis Tool
Maestro Proシリーズで取得された心筋細胞由来のデータは、Cardiac Analysis Toolで解析します。各電極から取得された拍動のシグナルから、最適な一つの電極を自動的に決定し、このデータを用いて、細胞外電位測定においては、FPD (Field Potential Duration)を求めます。LEAP(Local extracellular Action Potential)測定においては、APD30, 50, 90を求めます。さらに、不整脈様の反応の検出にも使用されます。
基本画面

(4) AxIS Metric Plotting Tool
Maestro Proシリーズで取得されたデータは、AxIS Metric Plotting Toolを用いて、簡単にグラフ化されます。ベースラインとなるデータと薬剤添加群等のデータをインポートするだけで、60以上のパラメータのグラフが作成できます。作作成したグラフは、そのままコピーできるのでレポートや論文に使用されます。 基本画面
