免疫細胞機能解析サービス|pDC/NK活性/貪食能/slgA検査

免疫系の深層理解へ:専門的な機能解析サービス

生体の恒常性維持に不可欠な免疫システムは、自然免疫と獲得免疫が精緻に連携する複雑なネットワークです。この複雑なシステムを理解し、疾患の病態解明、創薬、予防医学へと繋げるためには、個々の免疫細胞の機能や免疫分子の動態を正確に評価することが極めて重要となります。

当社では、免疫機能解析における長年の経験と高度な技術に基づき、免疫機能評価サービスを提供しております。例として下記の4つの検査を紹介します。他の検査につきましても、ご相談ください。これらの専門的な検査を通じて、お客様の研究開発や臨床応用における免疫学的評価を強力にサポートいたします。

1. pDC(形質細胞様樹状細胞)検査

2. NK(ナチュラルキラー)活性検査

3. 貪食能(Phagocytosis)検査

4. 分泌型免疫グロブリンA(sIgA)検査

提供サービス詳細

1. pDC(形質細胞様樹状細胞)検査

▶ pDCとは

形質細胞様樹状細胞(Plasmacytoid Dendritic Cell: pDC)は、自然免疫系の重要な構成要素であり、特にウイルス感染に対して大量のI型インターフェロン(IFN-α/β)を産生することで、迅速かつ強力な抗ウイルス応答を誘導します。また、獲得免疫系への橋渡し役としても機能します。

▶ 本検査の意義・目的

pDCの数、比率、および機能(特にIFN-α産生能)を評価することは、以下のような研究・評価において重要です。

  • ウイルス感染症における免疫応答メカニズムの解明
  • 自己免疫疾患(SLE等)におけるpDCの関与の評価
  • ワクチンアジュバントの開発や効果判定
  • 免疫療法の作用機序解明や効果予測

▶ 測定概要

末梢血検体またはPBMC検体等からフローサイトメトリーを用いて目的の細胞(pDC, cDCの)の割合を算出します。

▶ 主な応用分野

感染症学、自己免疫疾患研究、ワクチン開発、アレルギー学、腫瘍免疫学

2. NK(ナチュラルキラー)活性検査

▶ NK細胞とは

NK細胞は、細胞傷害性顆粒を放出してウイルス感染細胞や腫瘍細胞を直接攻撃する、自然免疫系の主要なエフェクター細胞です。特定の抗原認識なしに、MHCクラスIの発現が低下した異常細胞を認識・排除します。また、抗体を介した細胞傷害(ADCC)にも関与します。

▶ 本検査の意義・目的

NK細胞の細胞傷害活性を測定することは、個体の免疫監視能力を評価する上で重要です。

  • 抗腫瘍免疫能の評価
  • ウイルス感染防御能の評価
  • 免疫療法の効果予測・モニタリング(ADCC活性評価を含む)
  • ストレス、加齢、生活習慣等が免疫機能に与える影響の評価
  • 健康状態の指標(予防医学的観点)

▶ 測定概要

末梢血検体またはPBMC検体中の免疫細胞の活性マーカー(HLA-DR)陽性細胞の割合をフローサイトメーターを用いて測定します。

▶ 主な応用分野

腫瘍免疫学、感染免疫学、ストレス科学、老年医学、予防医学、機能性食品・サプリメント評価

3. 貪食能(Phagocytosis)検査

▶ 貪食作用とは

貪食作用(Phagocytosis)は、マクロファージ、単球、好中球などの食細胞が、細菌、真菌、アポトーシス細胞、異物粒子などを細胞内に取り込み、分解・処理する基本的なプロセスです。自然免疫における異物除去の最前線であると同時に、抗原提示を通じて獲得免疫の誘導にも関与します。

▶ 本検査の意義・目的

食細胞の貪食能を評価することは、生体の基本的な防御能力や炎症応答の指標となります。

  • 食細胞(単球/マクロファージ、好中球)の機能評価
  • 感染防御能、異物除去能力の評価
  • 免疫不全状態の評価
  • 薬剤や化合物の食細胞機能への影響評価(促進・抑制)
  • バイオマテリアル等の生体適合性評価

▶ 測定概要

末梢血(全血または分離細胞)中の食細胞に、蛍光標識された粒子(ラテックスビーズ、ザイモザン等)や標識細菌(例: pHrodo標識 E. coli)などを作用させ、一定時間後に細胞内に取り込まれた粒子/細菌の量や割合をフローサイトメトリーや蛍光顕微鏡を用いて定量的に評価します。

▶ 主な応用分野

感染症学、炎症研究、免疫毒性学、薬剤スクリーニング、マテリアルサイエンス、再生医療

4. 分泌型免疫グロブリンA(sIgA)検査検査

▶ slgA (Secretory Immunoglobulin A)とは

分泌型免疫グロブリンA(Secretory Immunoglobulin A: sIgA)は、消化管、気道、泌尿生殖器などの広大な粘膜表面を覆う主要な抗体です。粘膜上皮細胞で産生される分泌成分と結合し、タンパク分解酵素等に対する抵抗性を獲得しています。病原体の粘膜への付着阻止、ウイルスの細胞侵入阻害、毒素の中和など、粘膜免疫防御の最前線で機能します。

▶ 本検査の意義・目的

唾液や糞便中のsIgA濃度を測定することは、非侵襲的に粘膜免疫の状態を評価する指標となります。

  • 粘膜免疫バリア機能の評価
  • 上気道感染症や消化管感染症への罹患リスク評価
  • 心理社会的ストレス、身体的ストレスの影響評価
  • 腸内細菌叢との関連性評価
  • 栄養状態や運動習慣が粘膜免疫に与える影響評価

▶ 測定概要

採取した唾液検体や糞便抽出液中のsIgA濃度を、高感度なELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)法を用いて測定します。

▶ 主な応用分野

予防医学、ストレス科学、スポーツ科学、栄養学、腸内環境研究、感染症疫学、口腔衛生研究、小児科学