再生医療は、病気やけがなどの様々な理由でダメージを受けた生体の機能を、体外で培養した細胞等を用いて修復する究極の医療です。従来有効な薬や治療法がなかった疾患に苦しむ患者様に対して、全く新しい治療法を提供する可能性が期待されています。
 リプロセルは、幹細胞のエキスパートとして長年蓄積した技術とグローバルなネットワークを最大限に活用して、再生医療の実現を目指します。

■ リプロセルの再生医療製品

<<パイプラインの状況>>  
   

(1) 再生医療製品Stemchymal®

 
 Stemchymal®は、Steminent Biotherapeutics Inc.(本社:台湾台北市、以下、ステミネント社)が開発した健常者ドナー由来の体性幹細胞(MSC)を用いた再生医療製品です。当社はステミネント社と日本における共同開発および販売に関する契約を締結しています。

 現在、脊髄小脳変性症を対象疾患とした治験(臨床試験)を国内で2018年中に開始することを目指して、医療機関および独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への相談を行っています。
 ステミネント社では、台湾及びアメリカでも脊髄小脳変性症を対象とした臨床開発を進めています。このうち、先行する台湾では第Ⅰ/Ⅱa相の治験が終了し、製品に関連する有害事象が無いこと、及び製品の有効性を示唆するデータが報告されております。また、アメリカでは食品医薬品局(FDA)より希少疾患向け医薬品等の開発を促進するオーファンドラッグ指定を受け、治験準備を行っています。

●脊髄小脳変性症について
 脊髄小脳変性症は小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまう事により徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の疾患です。
 国内患者数は約3万人(約4,000人に1人)の希少疾患であり、20歳前後から60歳前後まで幅広い年齢で発病することが知られています。


 

(2) iPS細胞を活用した再生医療製品の研究開発

 
 リプロセルでは、iPS細胞を活用した再生医療製品に関して、米国Q Therapeutics Inc.(以下、Qセラ社)と共同で新たな中枢神経系疾患の治療法を開発しています。
 リプロセルは、独自の強みとして、次世代のiPS細胞作製技術であるRNAリプログラミング法により、遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクのない、高品質で臨床応用に適したiPS細胞を作製する技術を保有しています。
 一方、Qセラ社では、ヒト胎児由来の組織から神経グリア細胞(GRP、製品名Q-Cell®)を製造する独自の技術を保有しています。同社は中枢神経領域の様々な疾患に関する動物疾患モデルにおいてQ-Cell®の安全性及び有効性を示すデータを取得しており、米国FDAに対して、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および横断性脊髄炎(TM)を対象疾患とした治験申請(IND)を完了しています。
 しかしながら、Q-Cell®は細胞ソースとしてヒト胎児由来組織を用いることから、品質の安定した細胞を大量に確保することに限界があり、同社は将来に向けて大量培養に適したiPS細胞技術の導入を計画していました。
 このような背景から、両社は中枢神経領域の疾患を対象としたiPS細胞由来神経グリア細胞の開発に関する共同研究に着手しております。



●筋萎縮性側索硬化症(ALS)について
 体を動かすための神経系(運動神経;Motor neuron)が変性してしまう病気です。これにより脳から「筋肉を動かせ」といった命令が伝わらなくなり、筋肉がやせていきます。運動神経のみが変性するため、意識や五感は正常であり、知能の低下もありません。
 病状の進行が極めて速い一方で、有効な治療法は確立されていません。日本では指定難病とされています。患者数は、日本国内で約1万人、米国では約3万人と推定されています。


●横断性脊髄炎(TM)について
 脊髄の一部分が横方向にわたって炎症を起こすことによって発生する神経障害です。米国では患者数が約3万人と推定されています。
 通常、腰部の痛みや筋肉衰弱やつま先や脚の異常な感覚などの症状が突然発症することで始まり、その後急速に、麻痺や閉尿や排便制御の喪失などの深刻な症状がみられます。
 一部の患者は障害を残さずに完治しますが、中には日常生活に支障をきたすほどの障害が残ってしまう患者もいます。
 原因は特定されておらず、効果的な治療法は確立されていません。
横断性脊髄炎