PBMC分離サービス|臨床研究

PBMC分離サービス

PBMC分離サービスの概要

ヒト末梢血単核球(PBMC: Peripheral Blood Mononuclear Cell)は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)および単球を含む、免疫応答の中核を担う細胞集団です。これらの細胞の機能や動態を解析することは、免疫学研究、疾患メカニズムの解明、医薬品やワクチンの開発、そして臨床診断において極めて重要です。

しかし、血液検体から高品質なPBMCを安定して分離するには、標準化された手技と厳格な品質管理が不可欠です。不適切な分離操作は、細胞の生存率低下、特定細胞集団の損失、顆粒球などのコンタミネーション(混入)を引き起こし、検査の解析結果の信頼性を著しく損なう可能性があります。

当社では、経験豊富な専門スタッフが最適化されたプロトコルに基づき、高品質なPBMC分離サービスを提供いたします。お客様の研究開発や臨床応用を、信頼性の高い細胞分離技術でサポートいたします。

PBMC分離後の使用例と臨床的・研究的意義

1. 免疫機能の詳細な評価

  • フローサイトメトリーによるリンパ球サブセット(CD4/CD8比、B細胞、NK細胞等)の精密な定量・同定。
  • ELISpot法や細胞内サイトカイン染色等を用いた抗原特異的な細胞性免疫応答(サイトカイン産生能、細胞増殖能)の評価。
  • 各種免疫細胞の機能解析(例:NK細胞活性測定、単球の貪食能評価)。

2. 疾患メカニズムの解明

  • 自己免疫疾患における自己反応性リンパ球の同定や機能解析。
  • 感染症における病原体特異的免疫応答の経時的変化の追跡。
  • がん微小環境における免疫細胞の動態や、がん免疫療法への応答性に関連する因子の探索。

3. 治療効果のモニタリング

  • 免疫抑制療法や免疫調節療法における免疫細胞数・機能の変化の評価。
  • がん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬等)の効果判定や予測バイオマーカーの探索。
  • 臓器移植や造血幹細胞移植後の免疫再構築や拒絶反応のモニタリング。

4. バイオマーカー探索と創薬応用

  • 疾患特異的な遺伝子発現プロファイルや表面マーカーの同定。
  • 医薬品候補化合物の免疫系への影響(免疫毒性、薬効)評価。
  • ワクチン候補の免疫原性評価。

5. 再生医療・細胞治療

  • 治療用細胞(間葉系幹細胞等)の品質管理や特性評価。
  • 細胞投与後の生体内動態や免疫応答の評価。

PBMC分離の原理と標準的工程

当社では、最も広く用いられ、信頼性の高い密度勾配遠心法を標準的なPBMC分離法として採用しています。この方法は、比重の異なる溶液(密度勾配液、例:Ficoll-Paque™)を用いることで、血液中の各細胞成分をその比重差に基づいて分離する原理に基づいています。

標準的な工程概要

  • 検体受領と前処理:抗凝固処理された末梢血を受領後、速やかに処理を開始します。必要に応じてPBS等で希釈し、粘稠度を調整します。
  • 密度勾配液への重層:遠心管にあらかじめ分注した密度勾配液の上に、血液検体を界面を乱さないよう静かに重層します。
  • 遠心分離:設定された条件(遠心力、時間、温度、ブレーキ設定)で遠心分離を行います。これにより、血漿層、PBMC層、密度勾配液層、赤血球・顆粒球層が形成されます。
  • PBMC層の回収:血漿層と密度勾配液層の間に形成されたPBMC層を、他の層の混入を最小限に抑えながら慎重に回収します。
  • 洗浄:回収したPBMCから血小板や密度勾配液を除去するため、適切な洗浄液を用いて遠心洗浄を繰り返します。
  • 細胞数カウントと生存率評価:トリパンブルー染色等により、正確な細胞数と高い生存率を確認します。

当社のPBMC分離サービス:信頼と品質をお届けします

当社では、SOP(標準作業手順書)に基づき、検体の取り扱いから各工程の操作、試薬・機器の管理に至るまで、一貫した品質管理体制の下で分離作業を実施しております。登録衛生検査所を開設してから、約20年の実績を有し、各種の検査において、精度管理責任者、指導監督医の指導のもと、臨床検査技師が厳格な精度管理を行っています。(登録番号:第8033号(横浜市))

加えて、少量検体への対応や、フローサイトメーターでの解析、指定場所への発送等、お客様のプロトコルに合わせたカスタマイズにも、柔軟に対応いたします。