臨床グレードiPS細胞(日・米・欧規制対応)
臨床グレードiPS細胞作製の概要
リプロセルは、日本、米国、欧州の3拠点にあるグループ会社のノウハウを活用し、PMDA(日本)およびFDA(米国)/EMA(欧州)とのコンサルテーションを通じて、各国(日本、米国、欧州)の規制に対応した臨床グレードiPS細胞を提供しています。適切なドナースクリーニングを行い、得られたソース細胞から、RNAリプログラミング法を用いて、臨床グレードiPS細胞を作製しました。現在は、複数のドナーから複数のiPS細胞株を作製し、臨床グレードiPS細胞株と、それらのiPS細胞株の選定のため、同一クローンを研究用途用に拡大培養した研究評価用のiPS細胞株を提供しています。
臨床グレードiPS細胞株ラインアップ
クローン名 | ドナー名 | 性別 | 年齢 | 血液型 | 人種 | 由来組織 |
VCT-37-F12 | RPC-VCT-37 | 女性 | 23才 | A(+) | Caucasian | 線維芽細胞 |
VCT-37-F26 | ||||||
VCT-37-F35 | ||||||
VCT-37-F36 | ||||||
LLF-34-F3 | RPC-LLF-34 | 女性 | 22才 | O(+) | Caucasian | 線維芽細胞 |
LLF-34-F5 | ||||||
LLF-34-F9 | ||||||
LLF-34-FTM01 | ||||||
LLF-34-FTM03 |
研究評価用iPS細胞株ラインアップ
研究評価用iPS細胞株は、臨床グレードiPS細胞株を研究グレードの条件で拡大培養後に凍結しています。そのため、研究評価用iPS細胞株は、臨床iPS細胞株と同等の特長を有しており、臨床iPS細胞株を使用する前に、使用目的に最適な株の選定のため(例えば目的細胞への分化傾向の評価など)に、使用いただけます。
品番 | 品名 | クローン名 | 希望小売価格 |
P-VCT-37-F12 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (VCT-37-F12) | VCT-37-F12 | お問い合わせ下さい |
P-VCT-37-F26 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (VCT-37-F26) | VCT-37-F26 | お問い合わせ下さい |
P-VCT-37-F35 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (VCT-37-F35) | VCT-37-F35 | お問い合わせ下さい |
P-VCT-37-F36 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (VCT-37-F36) | VCT-37-F36 | お問い合わせ下さい |
P-LLF-34-F3 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (LLF-34-F3) | LLF-34-F3 | お問い合わせ下さい |
P-LLF-34-F5 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (LLF-34-F5) | LLF-34-F5 | お問い合わせ下さい |
P-LLF-34-F9 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (LLF-34-F9) | LLF-34-F9 | お問い合わせ下さい |
P-LLF-34-FTM01 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (LLF-34-FTM01) | LLF-34-FTM01 | お問い合わせ下さい |
P-LLF-34-FTM03 | StemRNATM Clinical iPSC Pilot Clone (LLF-34-FTM03) | LLF-34-FTM03 | お問い合わせ下さい |
臨床グレードiPS細胞株の未分化評価
RNAリプログラミング法で作製されたiPS細胞は、ゲノムへのインテグレーションが起こらず、安全なiPS細胞が得られると知られています。iPS細胞の形態、核型、未分化マーカーの発現等、正常性が確認できています。(記載データは全てVCT-37-F35株)
明視野像と6継代後のG-バンド染色像(右図)
臨床グレードiPS細胞株(VCT-37-F35株)の未分化マーカー(OCT3/4、SSEA-4)の発現量を評価しました。どちらのマーカーも97%以上の細胞で発現がみられ、未分化状態を維持していることが示されました。
臨床グレードiPS細胞株の分化能
三胚葉への分化能(遺伝子発現)
臨床iPS細胞株(VCT-37-F35株)を三胚葉にそれぞれ分化誘導し、各胚葉のマーカー遺伝子(内胚葉:SOX17、FOXA2、中胚葉:GATA4、Brachyury、外胚葉:PAX6、MAP2)の発現をPCRで評価しました。それぞれのマーカー遺伝子の発現が誘導され、三胚葉への分化能を有することが示されました。(未分化iPS細胞の発現を1とする)
●内胚葉(SOX17、FOXA2)
●中胚葉(GATA4、Brachyury)
●外胚葉(PAX6、MAP2)
神経系細胞
臨床グレードiPS細胞(VCT-37-F35株)から、神経幹細胞への分化誘導を行いました。神経幹細胞マーカーであるPAX6、SOX1の発現が確認できています。さらに、これらのiPS細胞から、アストロサイトへの分化誘導を行い、90%以上の細胞がGFAP陽性のアストロサイトへと分化しました。
●神経幹細胞への分化誘導(PAX6、SOX1の発現)
●GRP・アストロサイトへの分化(明視野顕微鏡像、GFAPの発現)
造血系細胞
臨床グレードiPS細胞(VCT-37-F35株)から、造血幹細胞へと分化誘導しました。造血幹細胞マーカーである(CD34、CD43)の両遺伝子の発現を確認しました。さらにNK細胞へ分化誘導を行い、NK細胞の特徴(CD45陽性、CD56 陽性、CD3陰性)を有する細胞が得られました。その他のマーカーとして、NKp44 (CD336)、NKp46 (CD335)陽性細胞が得られました。さらに、K562細胞との共培養実験において、NK細胞の細胞障害活性が確認できました。
※下記のデータは全て東京都医学総合研究所 原孝彦先生からご提供いただきました。
●造血幹細胞への分化誘導(CD34、CD45)
造血幹細胞
●NK細胞への分化誘導(CD45、CD56、CD3)
●NK細胞への分化誘導(NKp44、NKp46)
●NK細胞の細胞障害活性(タイムラプス画像)
分化誘導したNK細胞の細胞障害活性を評価するために、生細胞染色試薬CFSEで標識したヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562細胞と分化誘導したNK細胞との共培養を行いました。
10,000個のNK細胞と1,000個のK562細胞を96ウェルプレートに播種し、ライブイメージング観察を行いました。NK細胞は、分化誘導37日目の細胞をソーティングせずに用いました。
緑色の丸い細胞がK562細胞であり、細長い細胞がNK細胞であり、分化誘導したNK細胞の障害活性が確認できました。
撮影時間は80分間。