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今回は、経済情報ウェブメディア「ZUU online」において掲載されております、当社社長の横山のインタビュー記事をご紹介します。
前編・後編の2部に分けてお届けいたします。

 

研究とビジネスを地道に積み上げ、設立の目的である「再生医療」事業に生かす

―御社の設立と事業の概要をお聞かせいただければと思います。
2003年、東京大学と京都大学の教授2名をベンチャーキャピタル(VC)がバックアップする形で、典型的な大学発ベンチャーとしてリプロセルが設立されました。当時、新しい医療として注目を浴びていた「再生医療」の実用化を進めることを目的としていました。

―大学発ベンチャーという特性もあり、資金調達や事業計画に関してはゼロに近い状態からスタートされたと伺いました。どのようにビジネスとして成り立たせていったのでしょうか?
大学は国から補助金を受けて研究するのが一般的ですが、会社は投資家からお金を集めるものですから、研究で終わらず、ビジネスにする必要があります。私は研究以外のファンクション、つまり管理部門や営業部門の整備、それぞれの人材採用も含めて、ビジネスにするところを担いました。

とはいっても、当時、再生医療をビジネスにするのはまだまだ難しいと感じ、もう少しビジネスになりやすい領域からスタートしようと、「研究支援ビジネス」に舵を切りました。再生医療研究をしている大学の先生に試薬を販売したり、製薬メーカーに細胞を販売したりする、サポートビジネスです。このように方向転換をしたことが、一番大きな経営判断になったと思います。

―先に事業性の高い領域へのシフトをしたことは、その後の会社経営にどんな影響を与えましたか。
2つの意味で良かったと思います。1つは、研究支援ビジネスが主軸のビジネスとして成長したことです。もう1つは、研究支援ビジネスを進めながら、技術開発を進められたこと。実は再生医療に関する技術は、研究支援ビジネスで使われる技術と同じものなのです。

ですから、研究支援ビジネスの中で大学や企業から出てきた「細胞の増殖速度が少し足りない」とか、「神経細胞を作るときの純度を高めてほしい」などのフィードバックを生かして、再生医療の研究や実験を重ねることができました。この18年間培ってきた様々な研究とビジネスをそのまま再生医療にも使えるということで、その技術の蓄積が我々の一番の強みとなっています。

上場を迎え「グローバル化」と「再生医療ビジネスへの着手」が可能となった

―設立されたのが2003年でその10年後の2013年にジャスダック市場に上場されていますが、上場はもともと目指されていたのでしょうか。
当初から目標にしていました。設立時からVCが入っていたこともあり、M&Aか上場か、何らかの形でEXITすることが会社の立て付けでもありました。ただ、もちろんそれだけが目的ではありません。

再生医療の治験や臨床試験は、本腰を入れてやろうと思うと10億や20億はすぐ飛んでしまうくらい費用がかかります。そのため未上場のままVCからの資金で進めるというのは、現実的ではありませんでした。特に日本はリスクマネーが非常に少ないので、リスクを取って大きなビジネスをしていくためには上場して資金調達することは必須だったと思います。

―実際に上場されて変化はありましたか。
はい。今まで私がやりたくてもできなかったことができるようになりました。

―たとえばどんなことでしょうか。
会社としての基本方針は設立から変えていないのですが、セミのようにずっと地下に潜っていたことが2つあります。

1つは、グローバル化です。バイオの分野はやはり日本は遅れをとっているので、世界規模で進めていかないと難しいという特徴があります。そこで我々は2013年に上場した後、2014、2015と立て続けにアメリカ、イギリスの会社を買収して一気にグローバル化しました。2018年にはインドの会社を買収し、日本・アメリカ・イギリス・インドという、重要拠点を抑えたグローバル体制が構築できたことは今後にとって大きい出来事でした。

もう1つは、設立当初から目指してきた再生医療のビジネスにようやく入れたことです。今まで日本だけで細々とやっていたビジネスがグローバル化し、研究支援だけでなく再生医療へと展開したことで、縦にも横にもぐっと事業範囲を広げられたと思います。

―ありがとうございます。IR上で気をつけていらっしゃることはありますか。
上場してからは、一般の株主の方も非常に多いので、そういう方に我々の事業を正しく伝えていくところは重視しています。かなり噛み砕いて説明しているつもりではありますが、専門的な部分はやはり理解が難しいところはあると思います。ですので、技術の深い話をすることよりは、iPS細胞を使うと何ができるようになるのか、いつ黒字化できるのか、どういうストラテジーで成長を描いていくのかという基本的な骨格のところを丁寧に説明するようにしています。

 

後編へ続く

社長インタビュー後編