Ⅰ.オートパッチクランプシステム

 Ⅱ.人工脂質二重膜実験装置/リポソーム作製装置

 Ⅲ.トランスポーター活性測定装置

 Ⅳ.iPS細胞由来心筋細胞測定装置

 Ⅴ.細胞モニタリング装置(インピーダンス測定)

 

Ⅰ.オートパッチクランプシステム

 

1)SyncroPatch 384

2)Patchliner Quatro/Octo

3)Port-a-Patch/Port-a-Patch mini

 

Nanion社のオートパッチシステムは、1ウェルでの測定から384ウェルの測定まで、様々なスケールでの測定に対応できます。下記分野の研究者の皆様を中心に、お勧めしています。


● 創薬開発でのリード化合物探索/安全性試験/毒性試験/薬理試験/スクリーニング
● 味覚・嗅覚・皮膚の感覚刺激・痛みの研究
● 不整脈等の循環器疾患や中枢神経疾患の研究
● 農薬・殺虫剤の研究
● 膜タンパク質の機能・構造解析の研究

 

1)SyncroPatch 384

 

小規模なスクリーニングプロジェクトからハイスループットスクリーニングまで
あらゆるニーズに対応可能なオートパッチクランプシステム

創薬プロセスに全自動の化合物スクリーニングをシームレスに統合できるように設計されており、創薬・薬理・安全性・医薬品研究開発・探索スクリーニング部門での、イオンチャネルのハイスループットスクリーニングにおいて最高のパフォーマンスを提供いたします。

 

特長

  • 384細胞同時測定(20,000データポイント/日)
  • 32ウェルモードにより小規模スクリーニングにも対応
  • 高いギガシール効率
  • 多様なイオンチャネルに対応し、迅速なアッセイ系構築が可能
  • カレントクランプによる活動電位の測定可能
  • 細胞外/内灌流可能
  • 約8時間の無人運転が可能
  • 解析ソフトウェアが付属
  • CiPAバリデート済システム
 

ヒートマップ画面

iPS細胞由来心筋細胞のHTS実施例

 

2)Patchliner Quatro/Octo

 

卓上型の分注装置の搭載によりフルオートでの実験が可能
最大 48 細胞、連続測定可能なオートパッチクランプシステム

ギガシール形成した8細胞までを同時測定できる卓上サイズのオートパッチクランプシステムです。簡単な実験のセットアップ、安定したホールセル記録、洗練されたソフトウェアにより、極めて効率的な化合物のイオンチャネルスクリーニングが実現します。

特長

  • 4細胞/8細胞を同時測定(最大48細胞を連続測定)
  • 分注装置を搭載し、フルオートで実験(測定)可能
  • 250~600データポイント/日
  • 電位依存性&リガンド依存性チャネルに対応
  • カレントクランプによる活動電位の測定可能
  • 温度コントール、細胞外/内灌流可能
  • 解析ソフトウェアが付属

測定タイプ

測定性能

 

3)Port-a-Patch/Port-a-Patch mini

 

お手元ですぐにデータの取得・確認ができる
誰でも簡単に測定できる世界最小のパッチクランプシステム

イオンチャネルの機能構造解析・関連する疾患の研究および創薬開発過程における、細胞レベルでの化合物の安全性試験/毒性試験/薬理試験/スクリーニングに最適な、シングルセルを使用したギガシールレコーディングを行うことができる世界最小のパッチクランプシステムです。

特長

  • マニュアルパッチクランプの経験や難しい操作は不要
  • 顕微鏡、除振台、マニピュレーター、ファラデーケージ扶養
  • 20~50データポイント/日
  • 電位依存性&リガンド依存性チャネルに対応
  • カレントクランプによる活動電位の測定可能
  • 温度コントール、細胞外/内灌流可能(オプション・miniを除く)

ギガシール形成・ホールセル形成の自動化

 

iPS細胞由来神経細胞(ReproNeuro)の測定例

オートパッチクランプシステムを用いて、iPS細胞由来神経細胞の測定を行いました。神経細胞に特徴的な複数のチャネル電流(Na+とCa++の複合電流, K+電流, GABA電流)と活動電位(データ非掲載)が測定されました。

細胞:iPS細胞由来神経細胞(ReproNeuro, リプロセル社)
培養期間:20日
剥離液:5% TrypLE (10分間処理)
測定装置:SyncroPatch 384PE, Port-aPatch
測定溶液:ナニオン社標準溶液

測定データ例

Na+/Ca++電流

Na+/Ca++電流

K+電流

GABA電流

 

Ⅱ.人工脂質二重膜実験装置/リポソーム作製装置

 

1)Orbit mini/Orbit 16 TC

2)Vesicle Prep Pro

Orbitシリーズは、人工的に形成した脂質二重層膜へ、精製した膜タンパク質などを再構成し、目的の膜タンパク質の機能・構造解析/薬物作用の評価を行います。Vesicle Prep Proは、リポソーム(脂質二重層膜小胞)を簡単に作製する装置です。下記分野の研究者の皆様に、お勧めしています。


● 膜タンパク質の活性の評価、機能・構造解析/薬物作用の評価
● ナノポア、マイクロ・ナノデバイスの研究
● 巨大リポソームを使用する研究

 

1)Orbit mini/Orbit 16 TC

 

人工脂質二重膜を用いた実験における
脂質膜の形成/膜タンパク質の再構成/単一チャネル電流の測定を簡単に

精製した目的の膜タンパク質(生体内のイオンチャネルまたは人工イオンチャネルなど)を人工的に形成した脂質二重膜上に再構成し、薬物作用の評価や機能・構造解析を簡単に行うことができます。

 

特長

  • 人口脂質二重膜の4ch/16ch同時形成/測定が可能
  • 顕微鏡、除振台、マニピュレーター、ファラデーケージ扶養
  • 目的の膜タンパク質を直接再構成またはプロテオリポソームで膜融合
  • イオンチャネル、DNAナノポア、抗菌ペプチド、トキシン等に対応
  • 温度コントロール可能
  • 手のひらサイズ、USBで簡単接続(Orbit mini)
 

MECAチップ

測定例

 

2)Vesicle Prep Pro

 

これ1台で巨大リポソーム(GUV)を簡単に自動作製

エレクトロフォーメーション法(水和させた脂質フィルムを交流電場で振動させる)により、有機溶媒フリーで直径 1~30 μm の巨大単層ベシクル( GUVs )を、高収率・高再現性で作製する世界初の装置です。

特長

  • 脂質平面膜実験
  • 直径1~30 μmのGUVを作製
  • 様々な資質条件に対応可能
  • 有機溶媒フリー
  • リポソーム形成過程の顕微鏡観察可能
  • 温度コントロール可能
 

Ⅲ.トランスポーター活性測定装置

 

トランポーターはイオンチャネルに比べて輸送率が低くなるため、測定が困難ですが、Nanion社の機器では様々なトランスポーターの測定が可能です。下記分野の研究者の皆様に、お勧めしています。


● トランスポーターを標的とした創薬や薬理試験
● 薬物動態・薬物送達・薬物代謝の研究
● 起電性トランスポーターやポンプの活性測定

 

SURFE²R N1/SURFE²R 96SE

 

蛍光プローブや放射標識リガンドを用いず
ラベルフリーかつリアルタイムに直接トランスポーター電流を測定

SURFE²R テクノロジーは様々なトランスポーター(シンポーター、エクスチェンジャー、ユニポーター)、ポンプの活性を、ラベルフリーかつリアルタイムに直接測定することができる新しい測定手法です。
通常トランスポーターはイオンチャネルに比べて輸送率が低くなるため測定が困難ですが、それを補うために最大 10⁹ 個のトランスポーターを同時に測定可能できる大きなセンサーサイズを採用し、最高の S/N 比を実現しました。
電流量が小さく検出困難、またはパッチクランプ法が適用できない起電性膜トランスポーターとポンプの活性測定に最適です。

 

特長

  • SSM(固定化膜標本)を用いて、トランスポーター電流を測定
  • 生体膜から調製した膜断片だけで実験可能
  • 膜タンパク質を再構成したプロテオリポソームで実験可能
  • 光刺激可能(オプション)
  • 96ウェル同時測定可能(SURFE2 96SE)
 

測定例

 

Ⅳ.iPSC由来心筋細胞測定装置(収縮力・インピーダンス・細胞外電位)

 

1)FLEXcyte 96

2)CardioExcyte 96

FLEXcyte96/CardioExcyte96は、iPS細胞由来の心筋細胞をハイスループットで測定する機器です。FLEXvcyte96では、従来の機器では測定が難しかった心筋の収縮力を測定し、CardioExcyte96では、インピーダンス測定と細胞外電位を測定します。下記分野の研究者の皆様に、お勧めしています。


● 細胞レベルでの安全性試験・毒性試験・薬理試験・スクリーニング
● iPS細胞由来の疾患モデル心筋細胞の研究
● 不整脈などの循環器疾患の研究

 

1)FLEXcyte 96

 

心筋組織の本来の環境に類似した生理学的条件下での収縮力測定

ナニオン社とInnoVitro社が共同で開発した独自のCapacitive Distance Sensor (静電容量式距離センサー)でたわみの変化を測定することによって、機械的応力を計算し、生理学的条件下で実際の収縮力を測定することが可能です。

 

特長

  • 96ウェル同時測定
  • ラベルフリー測定
  • 長期モニタリング可能
  • インキュベーションシステム(温湿度・CO2制御)付属
  • 底面がシリコン膜の専用プレートを使用
  • シリコン膜のたわみ変化を測定
 

FLEXcyte専用プレート

専用プレートの底面画像

 

2)CardioExcyte 96

 

インピーダンス測定とMEA様の細胞が電位測定が可能な
ハイブリッド心毒性スクリーニング装置

 

特長

  • インピーダンスと細胞外電位を同一細胞で測定
  • 96ウェル同時測定
  • ラベルフリー測定
  • 長期モニタリング可能
  • インキュベーションシステム(温湿度・CO2制御)付属
 

Ⅴ.細胞モニタリング装置(インピーダンス測定)

 

専用プレート底面の電極からインピーダンスを測定することで、電極上の細胞の状態を評価します。細胞数の増減がインピーダンス値の増減として計測されます。下記分野の研究者の皆様に、お勧めしています。


● CAR-T細胞などのがん免疫療法の研究・開発
● 長期間におよび細胞毒性試験
● 生体バリア機能

 

AtlaZ

 

ラベルフリーかつリアルタイムに
ハイスループットな細胞カイネティクス測定が可能

AtlaZは最大で6 x 96wellプレートでの細胞のインピーダンス変化を、リアルタイムに測定・解析が可能です。システムをインキュベーターに入れたままで日単位のカイネティクス測定が可能なため、一度のアッセイで細胞応答に関する多くのデータを得ることができます。また、測定周波数帯域を変更することにより、様々なアプリケーションに適用可能です。

 

特長

  • 最大6 x 96 wellプレートを同時測定可能
  • 日単位の長期測定可能
  • 測定周波数帯域の変更による広範囲な測定レンジ
  • 測定モードを選択可能(TEER, Cell Monitoring, Cytolysis)
  • 付属のバーコードスキャナによる測定プレートの管理
 

アッセイの流れ

各測定モードの概要

 

CAR-T細胞によるキリングアッセイ

 

株化心筋細胞(H9C2)を用いた毒性評価試験

 
 

参考文献

 

SyncroPatch 384

Paasche A, Wiedmann F, Kraft M, Seibertz F, Herlt V, Blochberger PL, Jávorszky N, Beck M, Weirauch L, Seeger T, Blank A, Haefeli WE, Arif R, Meyer AL, Warnecke G, Karck M, Voigt N, Frey N, Schmidt C.
Acute antiarrhythmic effects of SGLT2 inhibitors-dapagliflozin lowers the excitability of atrial cardiomyocytes.
Basic Res Cardiol. 2024 Jan 3.

Baltov B, Beyl S, Baburin I, Reinhardt J, Szkokan P, Garifulina A, Timin E, Kraushaar U, Potterat O, Hamburger M, Kügler P, Hering S.
Assay for evaluation of proarrhythmic effects of herbal products: Case study with 12 Evodia preparations.
Toxicol Rep. 2023 Apr 26;10:589-599.

 

Orbit mini/Orbit 16 TCOrbit

Schloßhauer JL, Zemella A, Dondapati SK, Thoring L, Meyer M, Kubick S.
Enhancing the performance of a mutant pyrrolysyl-tRNA synthetase to create a highly versatile eukaryotic cell-free protein synthesis tool.
Sci Rep. 2023 Sep 14;13(1):15236.

Lafarge EJ, Muller P, Schroder AP, Zaitseva E, Behrends JC, Marques CM.
Activation energy for pore opening in lipid membranes under an electric field.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 14;120(11):e2213112120.