ワクチンの種類(生ワクチン・不活化ワクチン・トキソイド・mRNAワクチン)

生まれてすぐに接種するワクチン。そして昨今の新型コロナウイルス感染症予防のために開発された新たなワクチン。私たちの世界には多くのワクチンが存在しますが、一言でワクチンといってもいくつかの種類があります。今回は、ワクチンについて紹介していきます。

ワクチンとは

ワクチンは、主に感染症に対して、感染の予防や、重症化を防ぐことを目的として用いられています。科学的に記録されている初めてのワクチンは、1798年にエドワード・ジェンナーより報告されました。これは天然痘予防のためのワクチンでした。
ワクチンは、ヒトが有する免疫システムを利用しています。ヒトは、一度かかった感染症に対して、次に同じ病原体が体内に入ったときに、感染が抑えられたり、症状が軽くなったりします。これは、免疫システムによるもので、通常、病原体が体内に入ると、その病原体に対する免疫が出来上がり、2回目の感染に対応できるからです。そこで、無毒化または弱毒化した病原体やその一部を予め接種(予防接種)し、その病原体に対する免疫力(抵抗力)をつけることが行われています。これに用いられる「無毒化または弱毒化した病原体やその一部」をワクチンと呼びます。

ワクチンの種類

ワクチンは「生ワクチン」、「不活化ワクチン」、「トキソイド」に大きく分けられます。そして、新しく加わったのが「mRNAワクチン」です。

① 生ワクチン

生ワクチンは生きた病原体ですが、病原体のウイルスや細菌に比べて感染性や病原性が弱められています。生ワクチンを接種して得られる免疫(抵抗力)は比較的強く、ワクチン接種の回数は、少数回となります。一方で、軽度で済むことが多いですが、副反応として発熱や発疹など、その病気の症状が出ることがあります。

② 不活化ワクチン

不活化ワクチンは、感染性をなくした病原体や、病原体の一部を使ったワクチンです。病原体の不活化には、ホルマリンや紫外線や加熱などが用いられます。1回の摂取では十分な免疫力が獲得できないので、複数回の摂取が必要となります。

③ トキソイド

トキソイドは菌がつくる毒素(トキシン)を取り出して、その毒性をなくし免疫をつける力だけを残したワクチンです。トキソイドは不活化ワクチンとして分類されることもあります。ジフテリアや破傷風に対するワクチンとして利用されています。

④ mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン

mRNAワクチンでは、弱毒化した病原体やその一部が用いられるわけではありません。病原体(ウイルス)を構成するタンパク質の遺伝情報をもつmRNAがワクチンとして接種されます。接種されたmRNAから病原体を構成するタンパク質が作られ、そのタンパク質に対する免疫を獲得します。現在、新型コロナウイルスに対するワクチンだけでなく、サイトメガロウイルスやインフルエンザウイルスなどに対するmRNAワクチンの開発も進んでいます。

まとめ

新型コロナウイルスの流行により、「ワクチン」という言葉が身近になりました。ワクチンには、いくつかの種類があり、新型コロナウイルスに対しては新たにmRNAワクチンが用いられました。ジェンナーの報告から200年以上が経過し、新たな技術開発が進む中、ワクチンは世界中で使用されています。

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