PBMCに含まれる細胞とは

血液の中には、PBMCと呼ばれる細胞の集団が含まれています。PBMCは私たちの健康や病気の解明においてとても重要な役割を担っています。今回のコラムではPBMCについて解説していきます。

PBMCとは

PBMCとは、「Peripheral Blood Mononuclear Cells」の略で、「ヒト末梢血単核細胞」を指します。PBMCは、T細胞、B細胞、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)、単球、樹状細胞など、さまざまな血球細胞から構成されています。これらの細胞は、免疫系の重要な構成要素として知られており、PBMCを検査することは、健康状態を観察するのに役立ちます。また、創薬研究での「非臨床試験」やヒトを対象にして行われる「臨床試験」など、さまざまな研究分野でも用いられます。

PBMCの構成細胞

PBMCは、一般的に、ヒトや動物の新鮮な血液から密度勾配遠心分離によって血漿成分、赤血球、血小板、顆粒球を除去して分離・回収され、リンパ球、単球、樹状細胞が主な構成細胞です。

リンパ球:さまざまな免疫反応を担っている生体防御にとても重要な細胞です。骨髄や胸腺、扁桃などのリンパ組織に存在します。T細胞、B細胞、NK細胞があります。
PBMC中の割合70~90%(CD3+T細胞70~85%、B細胞5~10%、NK細胞5~20%)

単球:感染に対する防御を開始するのに重要な役割を担っています。異物を細胞内に取り込み、細胞内酵素を使って、消化します。マクロファージや樹状細胞に分化します。
PBMC中の割合:10%

樹状細胞:強い抗原提示能力を持つ免疫細胞の一つです。白血球の一種で、骨髄の中の造血幹細胞に由来する樹状前駆細胞が血流に乗って全身に運ばれ、末梢組織で分化してできる細胞です。
PBMC中の割合:1~2%
※参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK500157/

免疫で働くBMC

PBMCに含まれるリンパ球、単球、樹状細胞は、それぞれの細胞の特徴により、免疫に深く関与しています。例えば、リンパ球の一種であるB細胞は、異物を攻撃するための抗体を作ります。これは液性免疫と呼ばれ、抗体の多様な効果(中和作用、オプソニン効果など)により、生体を防御します。単球やT細胞は、抗体を作らずに、免疫細胞が異物を直接攻撃します。樹状細胞は、体内に侵入した異物由来の断片を他のリンパ球に提示することで、活性化を誘導します。このように、これらの細胞は、単独で働くのではなく、相互に作用しながら、免疫系として機能しています。

まとめ

PBMCには、ヒトの免疫系で働く多様な細胞が含まれています。さらに、PBMCは血液から比較的容易に採取できることから、多様な検査や試験に用いられています。私たちの健康や医療の発展にPBCMは役立っています。

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