細胞の老化に関する研究(エクソソーム)

老化とは

「ハダカデバネズミ」という動物を知っていますか。ハダカデバネズミは、体長が10 ~13 cm程度で、地中のトンネル状の巣穴で生活しているげっ歯類の1種です。この動物は、がんになりにくく、他のげっ歯類と比較して寿命が長い動物として知られていて、その特徴から、がん研究や、老化研究の分野で実験動物として、注目されています。

老化は誰にも起きる生命現象で、加齢につれて生理機能が衰え、時間の経過とともに身体が変化して、特有の性質を失っていくことです。年をとると疲れやすくなったり、体のあちこちに痛みを感じるようになったり、病気を患ったりします。身近に感じるものとしては、筋力や記憶力の低下や老眼が挙げられます。 また、現代社会では、高齢化に伴い、がんや動脈硬化関連疾患、認知症や骨粗鬆症のように加齢とともに罹患率が上昇する疾病が深刻な社会問題として捉えられています。老化に至る過程そのものは非常に複雑であり、細胞や組織・臓器など、様々な部位で変化が進行していきますが、発症要因のひとつとして、加齢とともに体内に蓄積した老化細胞が関与していると考えられています。

SASP、アポトーシス、エクソソーム

動物の体を構成している細胞を生体から取り出して実験室で培養すると、細胞分裂の回数に限界があることが報告されています。このように細胞の増殖が停止した細胞を老化細胞と呼びます。 老化細胞では、細胞の形態変化(扁平・肥大化)、特異的遺伝子の発現変化といった特徴があり、さらに炎症性サイトカインやケモカインなど様々な生理活性因子を分泌などが起こります。近年、この生理活性因子の分泌は、SASP (Senescence-Associated Secretory Phenotype) と呼ばれています。老化細胞から分泌されるSASP因子が、周囲の細胞に炎症引き起こすことや、がん化の促進に関与していることが示唆されています。

これまでは、加齢が原因なら仕方がない、と老化現象を受け入れてきましたが、近年の医療の著しい進化により、老化を病気と認識することで、予防や治療ができるという考え方が広がりつつあります。これらの観点から様々な研究が進められています。

ハダカデバネズミを用いた実験では、老化細胞がたまりにくい仕組みが調べられています。この研究によると、ハダカデバネズミの細胞が老化すると、細胞死(アポトーシス)が誘導されて、老化細胞が排除されていきます。この老化細胞の除去が、ハダカデバネズミの抗老化に寄与していると考えられ、ヒトの老化細胞除去への応用が期待されています。

その他では、エクソソームと老化の関係性も研究されています。科学研究費助成事業のデータベースにおいて、「エクソソーム」「老化」で検索をすると、多くの関連する研究課題が検索されてきます。エクソソームの研究の一例として、脂肪組織由来の間葉系幹細胞が分泌するエクソソームにより老化線維芽細胞の細胞老化が改善されたことが報告されています。

今後への期待

老化の要因は細胞の老化だけではありませんが、今後もより深く老化現象が解明されて、数々の加齢性疾患との関連性が明らかになり、今よりも老化を恐れないようになることが期待されます。

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